九段の桜で考えた
カテゴリ:世情
渥美清が独立プロをつくって唯一映画化したのが「ああ声なき友」。死んでしまった戦友たちの遺書を8年かかってそれぞれの家族に届ける旅。
主題歌は渥美で、かなしい声で「九段の桜は今年も咲くだろうか~」と歌っていた。
30年以上前になるが、予備校に通っていたころ、
なんとも気持ちが重たくなってくると、街を何時間もへとへとに疲れるまで歩いた。
靖国神社もそんな散歩で、一度来たことがあった。
異様な鉄の鳥居をくぐり、大村益次郎の銅像を見上げると、
背筋がゾクゾクとくるものを感じたものだ。
一番印象に残っているのは、人間魚雷・回天が神社裏に雨ざらしであったことだ。
今日はご町内の九条の会の企画で、噂の「游就館」を見て、
平和について考えようと、昭和ヒトケタから「もはや戦後ではない」年の生まれなど10名で行ってきました。
靖国神社は、明治の戊申、西南戦争の死没者以後
「大東亜戦争に至る戦役・事変の戦没者を合祀し、246万余柱を祀る」。
(うち213万3千人は15年戦争で祀られた数)
この展示施設は、明治15年につくられ、「大東亜戦争終結後は閉館していたが、昭和61年に再開、平成14年に全面改装し、新館を増設し」とある。
なるほど、わたしが訪れた30年前は、「閉館」してたんだ。
それが、昭和も最終盤、いまから20年前に「再開」し、
2000年に全面バージョンアップしたわけか。
2000年て、小泉首相の生みの親・「神の国」の森首相の最期の年。
ちなみに「游就」って「高潔な人物に就いて交わり学ぶ」意味だそうだ(^^;)
この游就館、ともかく一度行って直接見たほうがいい。
わたしは反面教師で、じつにわかりやすく、
「靖国史観」と「国家宗教」としての靖国の本質にふれた気がしました。
上映している映画「私たちは忘れない」(50分)は、
「教科書では教えてこれなかった、近現代史の真実の歴史が描かれています」
とのことで、
・欧米列強の脅威から自主独立を守り抜いた日清・日露戦争
・アジアの安定に寄与する日本
・支那事変の拡大を避けようとする日本、裏で中国を支援する米英仏ソ
・日本参戦を仕掛けた米国の陰謀
・東京裁判の不当性と「戦犯」の無念
・祖国日本の防衛のため玉砕、特攻と尊い命を捧げた若き将兵たちの思い。「崇高な散華」
という内容で(^^;)、満州で11歳のときに敗戦を迎えたIさんは、
「途中でばかばかしくなった」と憤慨していた。
ここには、天皇を基軸に戦争をすすめた人たちの都合のいい
つまみ食いの「歴史」しかなく、
中国や朝鮮はじめアジアへの侵略者としての日本、
沖縄戦やヒロシマ、ナガサキなど軍人関係者以外は「想定外」のようだ。
ところで、この展示館の本質は「展示室9=招魂斎庭」にあると思う。
靖国神社の境内にもうけられた「招魂斎庭」で、新しく合祀される戦没者の名簿が、
「御羽車」に安置され、「英霊をお招きするのだ」そうだ。
その招魂式の様子を忠実に再現している。
昭和8年から敗戦まではNHKは実況中継したのだそうだ。
この展示室をみるだけで、国家による宗教施設だとじつによくわかる。
ちなみに、ドイツ文学の研究をしている友人の話では、
あの9.11の同時テロの際、
ドイツなどではあの「自爆テロ」を「カミカゼ」といったそうだ。
ドイツでは人間魚雷はつくっても、最期は脱出するようにしていて、
そのまま「自爆テロ」を強制する特攻は日本だけだったそうだ、、、、
その特攻兵器・回天と30年ぶりに再会した。
じつに厚化粧で、なんともおぞましく、かなしかった(;_;)
ガイドブックには「回天は大展示室の中央に横たわる。その威厳に満ちた姿に、
人びとは思わず立ちどまる」とあるが、、。
満開の九段の桜花。
子ども連れの若いカップルも多い。
けっこういた外国人は、どんな思いで展示を見ているのだろう。
最後に、「ああ声なき友」で渥美演じた主人公のセリフを記して
今日の記録を終えます。
「怒りのため遺書を届けてるんだ!」
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