2013-04-26

2006年02月08日 金沢城のヒキガエル

2006年02月08日
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 金沢城のヒキガエル

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バブルの最期の頃、山を切りひらいて移転してしまった金沢大学は、
それまでは世界に二つしかない(もうひとつはドイツのハイデルベルグ大学だと聞いた)お城の中の大学だった。

うっそうとした杜の中の旧本丸跡は江戸時代以来の老木が茂り、
めったに人も入らず(ホントはけっこうデートコースではあったが(^^;))
都市の中心にあるとは思えないほどの自然が残り、
ムササビやフクロウ、カルガモなどなど野生の生き物がいた。
(明治以降は前身の旧制第四高等学校(井上靖『北の海』)は、
 現在の中央公園にあり、
 お城は陸軍第九師団(あの203高地攻めの)が占領していたが、
 なぜか本丸は使わなかったようだ)

この本は、学園紛争の終わり頃に赴任した
「ダーウィン流の生存競争」に反発し、
「競争しない生き物のほうが競争する生き物よりもたくさんいるのではないか」
と論ずるすこし風変わりな生物学者による、
城趾の池に生息する1526匹のヒキガエルの9年間の追跡調査研究記録だ。

そのなかに出てくる3本足のカエルは、
カエル年齢では最高でも10年あまりしか生きられないなかで
なんと8歳まで生き延びたという。
おおらかな生活をいとなんでいるヒキガエルの世界から、しみじみ学ぶことも多い。

ちなみに、この調査の後半の時期と、
わたしのキャンパスライフはまったく一致している(^^;)
本丸跡で、このヒキガエルたちや先生とニアミスしてたかもしれない。

奥野良之助(元金沢大学理学部助教授)
『金沢城のヒキガエルー競争なき社会に生きる』
平凡社ライブラリー 2006年1月11日
(どうぶつ社 1995年)

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