2013-04-26

2006年01月29日 静かに心で泣けた。映画「単騎、千里を走る。」

2006年01月29日
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 静かに心で泣けた。映画「単騎、千里を走る。」

カテゴリ:映画・TV
圧倒的な存在感はなんなんだろう。

モノトーンのように色調を落とした日本の場面から、
一転すると中国奥地(雲南省麗江)は、総天然色で、
騒音入り乱れ、風や臭いさえも感じられる。
黒沢明の世界のような、黒い瓦屋根のつづく古い木造建築の町並み。
日本人の文化は遠い昔、このあたりと確実につながっていたのだなあ
とおもいながら、
自分は映画の中の人となり、無口な健さんと同化していた(^^;)

波瀾万丈でも神出鬼没でもなく。
泣き叫ぶことも、抱腹絶倒もない。
おまけに主役の高倉健以外は中国の人たちはみんな素人なのだ。

しかし張芸謀(チャン・イーモウ)と高倉健のコンビは、
みごとに、この地味な映画を、最高水準のレベルに昇華させている。

村人総出で歓迎する巨大食卓のシーン
別れをおしむ少年が「初恋の来た道」のように走る場面などなど、
一コマ一コマが完璧な映像美に貫かれている。

高倉健は背中で演技するといわれるが、
健さんの出演した203本の映画は、この作品のためにあったのではないか。
(息子の夫人役をじつに見事に演じていた寺島しのぶは、あの「緋牡丹のお竜」藤純子の娘さんだよね。健さんも74歳なわけだ)

「インターネットの時代だからこそ、
 顔と顔とを会わせたコミュニケーションの大事さを痛感している。」
というチャン監督。まさに同感だ。

あの首相のもとで、アジアに背をむけた孤立「外交」のなかで、
人間と人間は、民族と国家をこえて、何を信じ、こころ通わすのか。

昨日DVDでみた「ヒトラー最期の12日間」が、
600万人のユダヤ人虐殺などにふれず、なんだかな、、、
と不完全燃焼させられたような気持ちになっていたなかで、
日本が侵略した中国の人たちと、
人と人とのこころの交流、信頼について
考えることのきっかけを提示した意味はとても大きいと思う。

しかし、練馬のシネコンの180席は、
日曜日の午後5時とはいえ、4分の1程度の入り。
団塊のカップルが目立ちました。
この映画、一人でも多くの人に、映画館でじっくりみてほしい。
号泣はしないがじんわり心底泣けます。

映画「単騎、千里を走る。」
千里走単騎


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