2016-12-09

山﨑さんの3年目の命日 2016年6月9日

6月9日も忘れられない日だ。

2013年は白夜の北欧を旅していた。
そのときのおもいを記録しようと『北欧=幸せのものさし』の「おわりのはじまり」に次のことを書いた。
今日は山﨑厚子さんの3年目の命日だ。

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 東京の葛飾区に、知的障害のある若者たちの〝たまり場”「ぽむぽむ」がある。リーダーの山崎厚子さんが「緩和ケア」を利用していると聞いていた。

 「いまコペンハーゲンです。山崎さんたちといっしょした初めての旅から20年。北欧もどんどん変わりますが、変わらないものを見つめて」と旅の途中でメールした。
 「わあ、いいな! あそこからはじまったのよ、ぽむぽむも。疲れすぎないようにがんばってくださいね」と返信があった。

 帰国した翌日。「今日の3時頃おみやげ持ってあそびに行こうと思うけど、いいですか?」とメールした。返信はなく、しばらくしてケータイが鳴った。
 「娘です。母は今朝亡くなりました。昨日まで数日自宅で過ごしていましたが、昨晩呼吸が苦しいというので、病院に戻りましたが、今朝」

 山崎さんには、ぽむぽむの実践報告を『障害者問題研究』誌にお願いしていた。
 通夜で、論文を共同執筆した娘さんから、
「病室にいることを忘れてしまうような、まるで大学のゼミの課題を仕上げているような雰囲気でした。そんな中で印象的だったのは、母が〝この論文をとおして、また新しい発見があった”〝失敗やまちがいをおかしても、やりなおせる場所がぽむぽむだ。あなたたちにも覚えておいて欲しい”と言っていたことです」と聞いた。


 帰宅するといっしょに参列していた妻が、「よかったわね。原稿をお願いして」と言った。洗面所で涙がとまらなくなった。

 前著『北欧 考える旅』をまとめた2009年以降、親父や義母を看取り、恩師や親友、先輩たちの死に直面して、生きているいのちの重みを感じている。

 倶会一処(くえいっしょ)「倶(とも)に一つの処(ところ)で会(あ)う」は、義母が生きた北陸の教えだが、人間の身体は消えていくけれど、その志は、それを受けつぐ者たちのなかでつながっていく。

2016年6月9日

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