すごい映画だ。2時間があっという間で、涙をぬぐうことも忘れた。
1980年5月18日から10日間。
韓国・光州市では軍事クーデター政権の下、
民主化を求める学生・市民(20万人を越えるデモ)に対して、
2万5千の軍隊が、一斉射撃、機銃掃射など徹底弾圧を加えた。
死者は2000人ともいわれるが、当局は「市民に被害なし」として、
この事件が政府により公式に「謝罪」されるのは8年後だ。
その圧倒的な事実を下に、
映画は、ささやかな暮らしを営むタクシー運転手の気のいい兄
(キム・サンギョン)と
ソウル大法学部をめざす出来のいい高校生の弟(イ・ジュンギ)の
二人兄弟と、兄が淡い恋心をよせる看護婦(イ・ヨウォン、抜群!)と
退役軍人の父(アン・ソンギ、渋い!)などフツーの市民が主人公だ。
5月のある日から、戒厳令に反発しデモに参加した弟は狙撃され、
ノンポリの兄は銃をとり市民軍に参加する。
そこで彼女と市民軍の代表となった父と共に闘う。
彼女はラスト近くで夜明け前の街で訴える。
「私たちを忘れないでください。私たちは最後まで戦うつもりです」
80年の5月、自分は北陸の街で何をしていたろうか。
同じ頃に隣の国で、こうしたすさまじい事件が起こっていた・・・
すごい!とあらためて思ったのは、監督は71年生まれ。
彼自身が知らないことを自覚し、今とつなぐことに努力したこと。
そして、その作品は740万の圧倒的な韓国の人たちが見たということだ。
それと、巻き込まれ撲殺された知的障害者や
行方不明になった息子を捜し続ける目の不自由な母など、さりげなく織り込んでいたこと。
ラストは・・・ 嗚咽をこらえるだけだった・・・
私は忘れない!
5月10日より新宿ガーデンシネマ(スロープないぞ!)、シネカノン有楽町など
2 件のコメント:
「世界6月号」に
キム・ジフン監督の川本三郎インタビュー
無名の市民の立場から
「国民の痛み」を描く
が掲載されています。
6ページだけど、なかなか読ませます。
あ、存在感のあるシブイ役者の
市民軍リーダーのアン・ソンギですが
どこかでみたことのある人・・とおもってたら、
わがふるさとの映画「眠る男」の
ずーーと眠ってるだけですげー存在感の
あったあの人だった。
自分で感動したのだからそれでいいのですけど、マスコミの論調も気になります(^^;
けっこう評価はわかれるようで、
同族の新聞社でも
「兄弟愛が、恋愛が、無数の愛が破壊される惨状。見つめ続け告発する勇気ある韓国映画」
もあれば、
「ほぼアクション映画。多額の費用を費やして当時の光州市を再現したというが、疑問に思うのは、画面からいっさいの歴史の影と歴史の議論が聞こえてこないことだ」
というのも、
この違いはどこから来るのかな?
光州事件のとき、何歳で、どんな思想でこれをとらえていたか?
その歴史をどうつないでいくか、
そんなところが、それぞれに問われるのかな。
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