
気がつけば朝日の夕刊の「ニッポン人脈記」が変わっていて、『おーい 寅さん』がはじまっている。
今日は2回目というので、あわてて昨日の夕刊をさがした。
「男はつらいよ」シリーズで人生を学んでいるわが娘は、第20作「寅次郎頑張れ」を取り出して、風邪でふせっていたはずのカミさんと泣いたり笑ったりしている。
わたしは、昨日の夕刊で泣き、今日の夕刊で泣いている。
10時になると、緒形拳の遺作となったドラマ「風のガーデン」をみる。
「ふぞろいの林檎たち」からあいかわらずダイコンの中井貴一が、この作品ではすごく存在感がある。
ラストシーンに流れる「ノクターン」を歌う歌手・平原綾香もいいが、素人役者の彼女もなかなかだ。
そして、緒形拳。
今夜のセリフは、圧巻だ。
老衰で死んだ犬を抱きしめて眠る障害児の孫(神木くん)に、静かに語りかける。
かなしみは、愛しむ、愛する、大好きなことと同じことばの意味なのだ、
いとしいからかなしい。
生きるものは、必ず死にます。
おじいちゃんも、きみも、姉さんも、
死ぬということは、生きるものは必ず通る道です。
緒形拳も寅さんの渥美清も自分のガンを知りながら、懸命に生きた。
人間って、すごいなあ・・・と思うと、また涙がにじんできた。